量子暗号ネットワークの試験運用開始|NICT 独立行政法人 情報通信研究機構
~ 世界初、完全秘匿な多地点テレビ会議を敷設光ファイバ網で実現 ~
2010年10月14日
量子暗号は、理論上どのような技術でも盗聴できない究極の暗号技術です。
その方法はまず、送り手と受け手に量子鍵配送装置を用意し、光回線を介して盗聴を完全に排除した絶対安全な秘密鍵を共有し、次にその鍵を用いて送りたい情報をワンタイムパッドにより暗号化するものです。
量子鍵配送は極めて高度な技術で、実用化には多くの課題があり、これまでのアメリカ国防総省や欧州連合のプロジェクトでは、音声データの暗号化が限界で、伝送距離も敷設光ファイバで数10km程度が限界でした。
我が国では2001年からNICTの産学官連携プロジェクトにより、都市圏で完全秘匿なテレビ会議が実現できる世界最高速の量子鍵配送技術の研究開発に取り組んで参りました。
以前、量子コンピューターのセミナーに行ったとき、応用分野の一つとして「暗号通信」が挙げられていましたが、このことだったんですね。
【量子暗号】
量子暗号は図1に示すように、量子鍵配送による秘密鍵の共有と、それを用いたワンタイムパッド暗号化から構成されます。
図1 量子暗号における操作の概要
量子鍵配送では、送信者が光子を変調(情報を付加)して伝送し、受信者は届いた光子1個1個の状態を検出し、盗聴の可能性のあるビットを排除(いわゆる鍵蒸留)して、絶対安全な秘密鍵 (暗号化のための乱数列)を送受信者間で共有します。変調を施された光子レベルの信号は、測定操作をすると必ずその痕跡が残り(ハイゼンベルクの不確定性原理)、この原理を利用して盗聴を見破ります。
通信インフラに、量子暗号が採用されていくと良いと思います。
●QKD
UQCC2010 - Updating Quantum Cryptography and Communications 2010
QKD: 量子鍵配送(Quantum Key Distribution)の略。
量子暗号は暗号鍵を共有することで絶対安全性を提供するため、しばしば量子鍵配送とも呼ばれます。
量子暗号通信の肝は、QKD。
…ネットワークスペシャリストの試験には出て来なさそう。(笑)
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より高速でより長距離の量子暗号ネットワーク、試験運用開始 - @IT
量子暗号通信 ~絶対に解読されない暗号通信~
量子暗号とは (quantum cryptography) りょうしあんごう: - IT用語辞典バイナリ
量子暗号
読み方:りょうしあんごう
【英】quantum cryptography
量子暗号とは、ネットワーク通信における暗号化に量子力学の理論を応用し、光子の量子状態を用いる暗号化技術のことである。
量子とは電気や光における最小単位であり、これを観測すると観測のための光によって位置状態が変化してしまうという特性を持っている(「不確定性原理」)。おおまかに言えば、通信経路上に盗聴者がいた場合には、その盗聴者が観測を行うことによって正規の受信者の受信結果が変容し、したがって盗聴者の存在が発覚することになる。これによって、リプレイアタックをはじめとする暗号の盗聴を絶対的に拒絶することができる。
また、量子テレポーテーション現象と呼ばれる(互いに関連付けられたふたつの量子が存在する場合には、このふたつの量子をどれだけ遠くに離しても、一方の状態を観測した瞬簡に他方の状態が決定されるという)原理に基づいて、量子暗号化に用いられる乱数ビット列を共有しようという試みもなされている。
数学的に計算が困難であるという意味での難解読性をもつ現在の暗号化技術は、強力な計算機の前には無力であり、また通信途上で盗聴されてもそれと知ることはできない。そのため、量子暗号は原理的に解読不能な暗号方式として、いわば切り札として、熱い期待を集めている。